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Aēsop Ginza & Aoyama イソップ、2つのトピック |
昨年末の青山店に続き、9月に銀座店がオープンしたイソップ。銀座店も青山店と同様、古い建造物のリノベーションによって、場所の記憶を保ちながら、新しい息吹を感じさせる空間になっている。
設計は青山店と同様、長坂常が担当。銀座レンガ通りにちなみ煉瓦を主要内装素材とし、オリジナルの銅シンクを加えてデザインされた。
明治以降、日本一の商業地であり続けた銀座。戦争や火災などによる幾度もの困難を乗り越えてきた、その復興のシンボルが赤色の煉瓦であった。いま中央通りと呼ばれるメインストリートは、はじめは「銀座煉瓦街」として建設されたものだったのだ。
その名称を引き継ぐのが、中央通りから2本裏に入った「銀座レンガ通り」だ。土地の歴史を大切にしながらいまに繋げていく――そんな考えを持つイソップが、出店するのにまったく相応しい場所ではないだろうか。
そして、継承する店舗自体も歴史を持っている。銀座の裏通りの名物として47年間愛された「ミラノシューズ」(職人の引退により、今春閉店)の跡地が、イソップ銀座店へと引き継がれるのである。
銀座がなぜほかの商業地とは異なるのか? 歴史と人が紡いできたものの大切さ。イソップ銀座店は、そんな感慨すら思い起こさせてくれるスペースである。
★★★
一方の青山店。こちらは昨年12月のオープン以来、すでに表参道地域に溶け込み、行き交う人々が気軽に訪れることができるやさしい佇まいをみせている。親近感とでもいうべき雰囲気が、店内から発せられているようでもある。その空間にこの秋からギャラリー的な要素が加わった。
現在、開催中(~10月10日)なのは、今津杏子とデイモン・コワスキーのふたりによる展覧会。メルボルンで版画制作を中心に活動を行っている彼らの作品だが、グローバリゼーションを主題に、そこで発生する(であろう)様々な風景を、繊細なタッチで表現している。
よくみると、いたるところにユーモアが感じられ、シリアスななかに心のゆとりを与えてくれる作風が逆に、対象への理解を深めているように思える。
ふたりの制作方法はシンプルなもの。デイモンが書いた鉛筆画に今津が絵を加えたり、コラージュし銅版に写した後、共同でエッチングを行っているという。
メルボルンと東京。オーストラリア人と日本人。二つの交流によりはじまったイソップ青山店の展覧会。この連休、街歩きに訪れるには最適の空間/時間だと思う。
□ イソップ銀座店
Aēsop Ginza
住所:東京都中央区銀座4-3-5
電話:03.6228.7818
□ イソップ青山店
Aēsop Aoyama
住所:東京都渋谷区神宮前4-8-2
電話:03.3470.8311
www.aesop-japan.com
□ 今津杏子とデイモン・コワスキーのオフィシャルサイト
damonandkyoko.tk